JAXAウェブサイト > 宇宙利用推進本部Web > 準天頂衛星システム > 07 今いる場所・時間がわかる測位って?
「自分のいる場所を知る」ということは、昔から陸でも海でも旅人にとって非常に重要なことでした。
衛星を使って場所を知ることは、今でこそ生活に浸透していますが、宇宙から地球の場所がわかるなんてすごいと思いませんか? あなたのいる場所も私のいる場所も、何万キロも離れた宇宙から測っているんです。
   
   

衛星測位によって得られるのは、自分の位置(x,y,z)と時刻の情報です。衛星測位とは、4つの衛星からの電波を受信して、受信機と衛星との距離を測定、この測距データをもとに位置と時刻を計算します。

まず、それぞれの衛星からの信号を受信して、衛星から出た電波がユーザが持つ受信機のアンテナに届くまでの時間を計ります。衛星から送信した信号には、送信した時刻の情報が入っているので、自分のところに着いた時刻との"差"が届くまでの"時間"となります。この時間を「電波伝播時間」といいます。この"電波伝播時間"に"光の速度(299,792,458m/秒)"をかけて、衛星と受信機アンテナとの"距離"を求めます。しかし、自分自身(ユーザ受信機)の時計は、衛星に搭載している時計より正確ではなく誤差があるため、この衛星と受信機との距離にも誤差が生じます。つまり、真の正確な距離をあらわしていないのでこの距離を「擬似距離」といいます。
そして、受信機の"位置"を知るためには、受信機の位置の3次元座標(X,Y,Z)と受信機の時刻誤差(t)の4つの未知数を解く必要があります。4つの未知数を解くためには、4つの式からなる連立方程式を解かなければなりません。4つの衛星からの擬似距離を測れば、各衛星の位置と時刻はわかっているもの(正しいもの)として、X,Y,Zおよびtの4次元連立方程式を立てることができます。
このようにして、それぞれの衛星の位置と測定した擬似距離から、自分の位置を計算し、今いる位置と正確な時刻が分かるしくみになっています。

 

   
     
   
   
   
   

衛星測位だけに限らず、測位を行う上で最も重要といわれているものは、「正確な時刻」です。ユーザは衛星から電波が発せられた時刻を"正しい"として自分の位置を計算します。電波は、1秒間に約30万キロも進むので、わずか1マイクロ秒(100万分の1秒)の時刻のずれが、300mもの測距誤差となってしまいます。
逆にいうと、ユーザの位置が300mの精度で得られるということは、ほぼ1マイクロ秒の精度で正確な時刻が得られるということになります。
カーナビを使っている人も、測位計算を行うと位置と同時に正確な時刻も得られることを意外と知らないかもしれません。GPSの利用は位置を知るだけでなく、多くの地点で正確な時刻同期が必要な、地震の震源地の精密な観測などにも大変有効です。

GPSには、セシウム原子時計およびルビジウム原子時計が搭載されています。これらの原子時計の誤差は、30万年に1秒以下とも言われていています。
準天頂衛星にもルビジウム原子時計が2台搭載されます。

   
     
   
     
   
   

測位とは、ある一点を単独で計るだけではありません。既に場所が分かっている固定された箇所と測定したい場所との組み合わせにより、誤差を修正してより正確な位置を計算する方法もあります。これを「相対測位」といい、いくつかの方式があります。
"DGPS(Differential GPS)"とは、あらかじめ正確な位置がわかっている基準点での受信データを利用して、電離層等の誤差をキャンセルし、測位精度を大幅に向上させるものです。通常のコード測位と呼ばれる方法に対し、搬送波位相を使う測位では、距離を測る目盛りがコード測位に比べてはるかに細かい代わりに、搬送波の波の数を正確に数える必要があります。既知の基準局を用いて、搬送波の数を推定する方式にもいくつかの方法がありますが、近年ではRTK(Real Time Kinematics)"と呼ばれる方式が一般的に用いられています。この方式では基準局からの距離が離れると誤差が大きくなるため、基準局から近い場所での利用に限定されるのが欠点でした。そこで複数の基準点での受信データを用いて、ユーザ受信機で受信した場合の誤差補正情報を計算し、高精度な測位を可能にするネットワーク方式"RTK(Real Time Kinematics)"という方法が考案され、実用化されています。
もっとも大きな誤差源である電離層遅延誤差は同じ衛星から波長が違う2つの波を受けると受信機で補正することができます。現在GPS近代化(*1)が進められており、GPSから送信する民生用信号がL1だけでなく、L2も同時に送信する衛星の運用が始まり、二周波測距が可能な環境になりつつあります。

 

*1: GPS近代化=現在のGPSの弱点を補うために米国が進めている計画

 

   
   
     
01 「準天頂衛星システム」とは?  02 「準天頂衛星システム計画」とは?  03 「高精度測位実験システム」とは?  04 準天頂衛星がもたらす未来
05 準天頂衛星+GPS=?  06 生活に欠かせないGPS  07 今いる場所・時間がわかる測位って?
宇宙航空研究開発機構 宇宙利用推進本部 準天頂衛星システムプロジェクトチーム
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